作業療法士による発達支援コラム 2025年9月号

対人関係に悩むお子さんへの支援

 

こんにちは。

こどもプラス川越 新河岸教室です🎑

 

療育の現場で、「一人で過ごすことが多い」「周囲の子に関心がないように見える」と感じたことはありませんか?

 

今回は、そうしたお子さんに見られる特性と、支援の方法について、作業療法士の視点からお伝えいたします。

 

 


 

 

背景にあるもの

 

「人に興味が向かない」「人と関わろうとしない」といった様子には、自閉スペクトラム症(ASD)の特性が関係している場合があります。ASDの特徴の一つに、相手の気持ちを理解することが難しいという傾向があります。

 

・ことばによるやりとりが難しい

・表情や視線、ジェスチャーなどの非言語的サインが読み取りにくい

・相手の気持ちを推測することが難しい

 

また、視点の切り替えが難しいため、「自分の見ているもの=相手も同じように見ている」と思い込んでしまう傾向もあります。例として、相手に手を振る時も、相手に対しても自分に手のひらを向けたままで手を振ってしまうことがあります。これは、相手の視点を想像することが難しいという特性の一例です。

 


 

 

特性を「強み」として活かす

 

ASDのお子さんには、特定の物への強い関心や集中力が見られることがあります。この「こだわり」や「好きなこと」は、視点を変えれば「得意なこと」でもあります。たとえば、絵が得意、国語は苦手だけど数学は得意(数字に強い)、電車の名前をよく覚えているなど、「好きなこと」や「得意なこと」を見つけて、そこから自信や社会性を育んでいくことが大切です。

 

 


 

正確な理解のための診断と評価

 

特性をより正確に理解するためには、医療機関での診断や評価が役立ちます。
診断や評価には、以下のようなツールが使用されます。

・ADOS-2 (自閉症診断観察スケジュール)

・ADI-R(自閉症診断面接)

・PARS(自閉スペクトラム症評定尺度)

・サリーとアン課題 (心の理論を測る課題)

必要に応じて、医療機関に相談することも検討してみてください。

 

 


 

 

TEACCH (ティーチ) プログラムによる支援方法

 

ASDの特性に合わせた支援のひとつに「TEACCHプログラム」があります。
安心して活動できるよう、環境やスケジュールを整理・視覚化する支援法です。

 

1.物理的構造化

落ち着いて活動できるように、活動の目的ごとにスペースを分けて整理します。

・作業に集中できる場所

・気持ちを落ち着けられる場所

・スケジュールを確認できる場所

・休憩や切り替えのための場所

 

2.個別スケジュールの提示

「今やること」と「次にやること」を絵カードや文字で示すことで、活動の流れが分かりやすくなり、見通しを持ちやすくなります。お子さんの理解に合わせて、わかりやすい方法で提示することが大切です。

・ホワイトボードに絵カードを貼る

・「今」「次」の活動を見える化する

・タイマーで始まりと終わりを知らせる

 

3.ワークシステムの明確化

活動の目的・手順・量・終了条件を具体的に伝えます。
作業の見通しを持たせることで安心感や達成感に繋がります。

例:梱包作業の場合
① 何をする? → 梱包作業
② どれだけやる? → 10個
③ いつ終わる? → タイマーが鳴ったら
④ 終わったら? → 片付け

 

4.視覚的構造化

感情や希望を伝えやすくするために、事前に伝える手段を用意しておきます。
視覚的なツールを取り入れることで、ことばがなくても気持ちを表現しやすくなります。

・感情カードや希望カード

・絵カードを使い、自分の気持ちを表現できるようにする

 

5.操り人形ごっこ

① 大人が操り人形になったつもりで、 こどもの前でいろいろなポーズを取ります。

② こどもは、それを見て同じポーズをまねっこします。

この時、操り人形役の人の視点を考えて、同じ動きができるかどうかがポイントです。
もし動きの模倣が難しい場合には、大人がこどもと同じ方向(背中を向ける位置)に立つ
と、より理解しやすくなります。

③ あえて左右反対の動きに挑戦してみるのもよいでしょう。
(例:右手を上げたら左手を上げるなど)

 


 

今回は、「人の気持ちが分かりにくい」 「対人関係が苦手」といったお子さんの特性について、背景や支援の考え方、実践方法をご紹介しました。

 

お子さん一人ひとりの特性や得意なことに寄り添いながら、楽しく、無理のない方法で
「人と関わる力」を育てていくことが大切です。

 

今後も本コラムでは、作業療法士の視点から、発達支援に役立つ情報をわかりやすくお届けしてまいります。次回のコラムも、ぜひご覧いただけたら幸いです。

 


 

 

柳沢運動プログラムの効果

 

 

教室で採用している運動遊び

『柳沢運動プログラム』は、

頭からお尻、そして手や足の先まで

全身を余すところなく使った動きで構成されています🤸

 

たとえ小さな成功でも、

運動を通して経験した確実な進歩は

「自己肯定感」の獲得につながります。

「柳沢運動プログラム」は、

運動の発達を促すだけでなく、

お子さんの「自己肯定感」を高めることにつながる

運動遊びなのです!

 

 

 

 

 

今回のお話の、さらに詳しい解説や

柳沢運動プログラムについては

こちらの画像からもご覧いただけます🤗

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