作業療法士による発達支援コラム 2025年12月号

中高生の就労準備に繋がる活動:梱包作業

 

こんにちは。

こどもプラス川越 新河岸教室です🎅

今月は、「中高生の就労準備に繋がる活動:梱包作業」についてご紹介します。

 

 


 

 

運動遊びだけでなく「座って行なう作業」もお子さんの発達に大切な経験となります。
今回は、下之郷教室で行なっている中高生向けの活動 「梱包作業」をご紹介します。

静かな作業の中にも、集中力や手先の操作、感覚の使い方を育む工夫がたくさんありま
す。一見単純に見える作業ですが、一つ一つの動作の中には「確認する」 「揃える」「貼る」など就労に必要な力が多く含まれています。

実は、今皆さんが手に取られているこちらの冊子 【柳沢プログラム】を全国のこどもプラス教室向けに梱包しているのは、放課後等デイサービスに通う中学生・高校生のお子さん達なのです。

就労に向けたスキルアップの活動の一環として行なっています。

 

 


 

 

梱包作業の流れ

 

● 数え作業:10冊ずつ数え、互い違いに重ねます。

● 中梱包:納品書と冊子を透明な袋に入れ、そのセットを外袋に入れます。

● 外梱包: 外袋をガムテープで止めます。

 

一連の流れを、お子さんの特性や性格に応じて分担しています。

 

梱包作業は活動の一つですが、運動遊びや自由時間、行事とは異なり、「やる気が出ない」 「集中できない」などの課題が出やすい場面でもあります。

ここでは、実際に下之郷教室で起きた事例と、その際に行なった工夫を紹介します。

 

 


 

 

① 数え間違いをして悩むお子さん

 

数え作業では、以前は職員が最終確認をしていました。

しかしそれでは、お子さん自身で数を数えても再度間違える可能性があり、自分で確認する機会が減ってしまいます。

そこで、30冊分の重さを秤で測り、お子さん自身に測定してもらう方法を取り入れました。

重さという感覚的な手がかりを使うことで、数の違いを自分で把握できるようになり、「できた!」という実感を得やすくなりました。

このように、正解を教えるのではなく”気付きを引き出す工夫”を取り入れることで、自信や達成感に繋がる支援ができます。

 

 


 

 

② 動き回ってしまうお子さん

 

気が散りやすく、数える途中で席を離れてしまうお子さんには、冊子の大きさの紙に、好きな画像と数字を印刷し、その上に冊子を置いていく方法を取り
入れました。

好きなものを取り入れることで、活動に対する興味が高まり、以前よりも長い時間、集中して作業に取り組めるようになりました。

このように、お子さんの興味や感覚の特性に合わせて活動を調整することで、「できた」という体験が増え、活動への意欲も高まります。

 

 


 

③ セロハンテープを貼るのが難しいお子さん

 

透明な袋をセロハンテープで留める作業では、位置が分かりづらく貼り直しが続くことがありました。そこで、透明袋の上に外袋を重ね、その上からセロハンテープで止める方法に変更しました。色の違いが生まれることで境目が見やすくなり、テープをまっすぐ貼れるようになりました。

 

 


 

 

このように、課題の中でもお子さんの特性に応じて段階をつけたり、作業の方法を少し変えたりすることで、スムーズに取り組めるようになることがあります。

また、注意欠如・多動症(ADHD)の特性があるお子さんには、座って行なう活動の前に「好きな感覚」を取り入れることが効果的です。

ブランコやハンモックでゆられることで前庭感覚を、柳沢運動プログラムの「操り人形ごっこ」で固有感覚を、を感じることができます。

 

 

操り人形ごっこ

① 大人や友達から伝えられた部位を動かしましょう。

② 操る役と人形役に分かれましょう。2人組でも複数人でも良いですが、操る役は1人にしましょう。

③ 手・足・顔・腰など、さまざまな部位を上下・回転などの動きで伝えましょう。

④ 声での指示やジェスチャーをまねして、体を動かしましょう。

こうした活動は、心身を整え、作業に集中しやすい状態をつくります。

 

一方で、自閉スペクトラム症(ASD)の特性のあるお子さんには、活動の見通しが立つようにすることが大切です。

絵での手順表を用意したり、タイマーで「始まり・中間・終わり」を明確にしたりと、事前の準備が安心に繋がります。

 

 


 

 

最後に、お子さんごとに特性や作業能力はさまざまです。

しかし、ちょっとした工夫がその子の力を引き出し、「できた」という自信を育むことに繋がります。

こうした小さな工夫の積み重ねが、将来の就労にも生かされていくと考えています。
これからも、療育の現場から”日々の支援に役立つヒント”をお伝えしていきます。

 

 


 

 

柳沢運動プログラムの効果

 

 

教室で採用している運動遊び

『柳沢運動プログラム』は、

頭からお尻、そして手や足の先まで

全身を余すところなく使った動きで構成されています🤸

 

たとえ小さな成功でも、

運動を通して経験した確実な進歩は

「自己肯定感」の獲得につながります。

「柳沢運動プログラム」は、

運動の発達を促すだけでなく、

お子さんの「自己肯定感」を高めることにつながる

運動遊びなのです!

 

 

 

 

 

今回のお話の、さらに詳しい解説や

柳沢運動プログラムについては

こちらの画像からもご覧いただけます🤗

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